流体制御を土台に、研究のスループットを高める ― マイクロ流体 × ラボオートメーション
NTサイエンスは、混合・調製・添加・切替といった流体制御を研究プロセスの基盤技術と位置づけています。研究開発段階で流量・圧力・混合条件を定量化し、再現可能な実験系を構築することで、研究の再現性・スループット・拡張性の向上を支援します。
流体条件を操作ではなくデータとして管理できる実験環境を構築することで、将来的な自動化やロボティクス、外部ソフトウェアとの連携にも発展可能な実験基盤として機能します。
私たちはAIそのものを提供するのではなく、研究者が選択する解析手法やソフトウェア、自動化システムと連携できるマイクロ流体・流体制御基盤を提供します。
なぜ今なのか ― 少量・多条件・高頻度実験への対応が求められている
少量・多条件・高頻度の実験が主流になるほど、人手によるばらつきや人手不足がボトルネックになります。研究現場では、次のような壁が同時に立ち上がります。
- 再現性のばらつき ― ピペッティングや送液の個人差が結果を左右し、条件検討の比較を難しくします。
- スループットの限界 ― 1条件ずつの手作業では、広い設計空間を現実的な時間で探索できません。
- 希少・微量サンプル ― 貴重な細胞や試薬を、少ない体積で無駄なく扱う精密さが求められます。
- 設計・解析の負担 ― 計画立案・手法調査・データ解析に時間を取られ、意思決定が遅れます。
課題の本質は、まず実験を「精密な流体制御」で標準化することにあります。再現可能な実験基盤を構築することで、その先の自動化やロボット連携、データ解析との統合が可能になります。だからこそ、後段の装置導入では補完しにくい流体制御条件を、研究開発の初期段階で明確化しておくことが重要です。
マイクロ流体の本質価値 ― なぜ「自動化の土台」に向くのか
1 mm以下の流路で微小な流体を精密に操ることで、少量試料・高再現性の実験が可能になります。マイクロ流体は、次の4つの特性から自動化と親和性の高い実験基盤です。
- 少量・省試薬 ― nL~µLスケールで、貴重なサンプルと高価な試薬の使用量を抑えます。
- 高再現・高精度 ― 流量・圧力を物理量として制御し、条件を定量的に揃えます。
- 並列・高スループット ― 多流路・多ノズルにより、多数の反応を効率的に処理します。
- 区画化(コンパートメント化) ― 1細胞・1反応を独立した微小リアクターとして扱います。
これらは、個別の分注操作として分解するよりも流体プロセスとして一体的に扱うことで意味を持つ領域です。研究段階で条件検討や評価を柔軟に行いながら、将来の装置化・自動化へ段階的に発展させられます。

学術トレンド ― Microfluidics × Automation の進化
近年、マイクロ流体、流体制御、ロボティクス、データ解析技術を組み合わせた研究自動化の報告が増えています。研究の高速化だけでなく、再現性・省資源性・高頻度データ取得を同時に実現できる点が注目されています。
- 材料・粒子探索の効率化 ― 精密な調製、インライン計測、条件選択を組み合わせ、広い条件空間を効率的に検討します。
- 調製性能の向上 ― 混合条件を定量的に制御し、ナノ粒子などの物性や機能の再現性向上を図ります。
- 単一細胞操作の高度化 ― 画像認識や自動選別を組み合わせ、ドロップレット内の細胞分類や回収を支援します。
共通するのは、マイクロ流体と流体制御が実験実行基盤として機能している点です。ロボティクスやデータ解析は、その上位層として実験の設計・実行・計測・解析を効率化します。これらは必須要件ではなく、研究目的と必要性に応じて段階的に組み合わせる技術要素です。
自動化を支える土台 ― 精密な「流体制御」
再現性のある自動化は、送液の圧力・流量を意図どおりに制御できて初めて成立します。NTサイエンスは、この中核レイヤーを流体制御モジュールとして設計し、必要に応じて搬送、計測、解析などの機能を段階的に追加できる構成を提案します。
流体制御が担う3つの役割
- 条件を物理量として設定する ― 圧力・流量・送液時間を数値で指定します。
- 流路や試薬を切り換える ― バルブを用いて試薬・洗浄液・回収経路を選択します。
- 実測値を管理する ― センサ併用時は、流量や圧力などのずれを把握し、必要に応じて制御へ反映します。
流体制御は、デジタル上で定義した実験条件を、実際の流体操作へ変換する中核技術です。
主な流体制御コンポーネント
- シリンジポンプ ― 容積と送液速度を設定し、微量からmL域までの送液を行います。
- ロータリーバルブ ― 多数の試薬、流路、洗浄・回収経路を集約して切り換えます。
- 空圧式マイクロ流体ポンプ ― 高応答で脈動の少ない連続送液や、多流路の独立制御に適します。
- 流量・圧力センサ ― 実測値を取得し、条件管理や閉ループ制御への拡張を支えます。
本流体制御モジュールは、送液用シリンジポンプや切換用ロータリーバルブを含む構成を基本とし、流体プロセスを一つの機能ブロックとして確立します。低デッドボリューム、耐薬品性、外部制御への対応を考慮し、上位の自動化機器や分注システムと役割分担しながら接続できる構成とします。
主な応用テーマ ― バッチとフローを組み合わせる研究プロセス
ラボオートメーションは、すべての工程をフロー化したり、すべてを自動化したりすることを目的とするものではありません。固体・粉体の取り扱い、プレートベースの調製・評価などは、バッチ方式や既存の分注ロボットが得意とする領域です。一方で、送液・混合・反応・分離・ドロップレット生成などは、流体プロセスとして一体的に扱うことで再現性の向上と拡張性を得られます。
重要なのはどちらか一方を選ぶことではなく、バッチとフローを目的に応じて組み合わせることです。マイクロ流体は、その中でも流体として扱うことに意味がある工程を、高精度かつ再現性高く実行するための実験基盤と位置付けられます。
ドロップレット生成(シングルセル・HTS)
1細胞・1反応を微小ドロップレットに封じ込め、独立したマイクロリアクターとして高速に処理します。ドロップレットPCR、scRNA-Seq、酵素・抗体スクリーニング、微生物スクリーニング、ソーティングなどに展開できます。
ドロップレットサイズや生成頻度は、流量・圧力・流路設計によって決まります。そのため、再現性あるドロップレット実験の実現には、流体制御が重要な役割を担います。
脂質ナノ粒子(LNP)・ナノ粒子生成
溶媒比・混合速度・流量比(FRR)・総流量(TFR)などの条件は、粒径・PDI・封入率に影響します。マイクロ流体でこれらの条件を精密に設定し、少量の処方検討からスケールアップまで、同じ流体原理に基づいて展開します。
本システムはAIそのものを提供するものではありません。FRR・TFR・混合条件などを再現性高く実行し、研究者、実験計画法、または外部解析システムが選択した条件を実験として具現化する基盤として機能します。必要に応じて、DoE、機械学習、ベイズ最適化などを用いた条件探索へ発展できます。
微生物スクリーニング(ドロップレット内蛍光反応・セルソーティング)
単一細胞封入・試薬添加・反応時間・混合状態は判別精度に直接影響します。流体制御として一体設計することで、均一なドロップレット生成と再現性の高い反応条件を実現し、高速かつ信頼性の高いスクリーニング系の構築を支援します。
フロー合成・連続反応・オンライン分析
送液比率・混合順序・温度・滞留時間の連続制御が有効な領域です。前処理から検出までをフローとして構成することで、安定した連続測定や効率的な条件検討が可能になります。
一方で、試料調製、固体試薬の秤量、プレート操作、個別サンプル管理などは、バッチ系機器や汎用ロボットとの組み合わせが有効です。
流体制御として扱うべき工程と、バッチ装置や汎用自動化設備に委ねる工程を適切に切り分け、組み合わせることが、現実的なラボオートメーションにつながります。
自動化の4ステップ ― あなたのラボはどの段階?
一足飛びではなく、流体制御を起点に段階的に自律化へ進むのが現実的です。
- 手動 ― 人が送液・操作・記録(個人差が結果に影響)
- 半自動 ― 送液や分注などを機器化(再現性が向上)
- 自動 ― 工程連結+ロボット搬送(スループット拡大)
- 自律 ― AI設計+LLM制御で最適化(探索の自動最適化)
流体制御という土台の上に、ロボット搬送とAI設計・LLM制御を段階的に重ね、自律実験へ近づけていく考え方です。
導入の進め方 ― スモールスタートで、無理なく自動化へ
- 課題整理・PoC ― 工程と条件を可視化し、要素で試す
- 流体制御を標準化 ― 送液制御、ドロップレットやLNP生成を再現性高く固める
- AI設計・ロボット連結 ― 計画生成と搬送・工程連結で無人化
- LLM制御でループ自律化 ― 計測・解析と次条件設計を自動で回す
まずは流体制御基盤の導入から開始し、研究の進展や課題に応じて、機器連携・自動化・ロボット化・ソフトウェア連携へ段階的に拡張できます。ユニットやオプション単位での追加導入にも対応し、研究開発から装置化まで柔軟に発展できる構成を提案します。
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